底付きは時代遅れ、今や底上げが常識!
これは、一昨日のオフ会での学びのその2。アルコール依存症患者を専門にケアしている看護師のAさんが語って下さった。
底付きまで行ってしまうと、失うものが多すぎる。場合によっては、全て失う。命までも・・・
そこで、今は、如何に傷を浅く、アルコール依存の淵から引き上げるか、を考える時代なのだそうだ。つまり、如何に底上げを図ってあげられるかということ。
断酒には本人の底付きが絶対に必要、などと、鍋底の頑固な焦げ付きのような考え方が正しいと、信じて疑わない頑迷固陋な人がいるのも、事実だが。
以下、Aさんのお話と、私がネットで調べたこととをミックスして、書いてみようと思う。
底付きを経験しないと、本物の断酒は出来ないと、まことしやかに、今でも言われているのが、日本。なんと、一部の専門職や、回復施設のスタッフの間でも未だに言われているのだそうだ。
この考え方は、時代遅れも甚だしく、アメリカでは、1980年代に、底付きには全く根拠がないこととして、否定されたのだそうだ。
かつて、酒害者本人に気付かせるために、家族や支援者は、酒害者をある程度突き放して、底付きをさせようと試みていたことがあった。
だが、底付きを待つ間に、本人が自殺してしまったり、仕事、家族、健康など、回復に必要で大事な人やモノなどを、底へ堕ちて行くまでの間に失ってしまったりすることが多々あった。
自殺して命を失ってしまっては元も子もない。そうでなくても、あらゆるものを失ってしまったなら、いくら本人が底付きを経験しても、そのどん底から這い上がる気力・体力・環境が、もはや失われてしまっているのである。
アルコール依存症からの回復には、酒害者本人の気付きが必要なのはもちろんだが、それをただ漫然と待つのではなく、医療機関、支援者、家族が、問題に気付いた早い段階から、酒害者に介入して、底上げして行くことが、今のアルコール依存症患者への最新のアプローチだそうだ。
つまり、支援者が酒害者の《底付き》の《底上げ》をする支援をしてあげること。人によって違うだろうが、例えば、酒害者Zさんの底付きの底が100mの深さだとしたら、それを50mくらいに底上げしてあげる。
体力も、気力も、家族も、仕事も、住むところもある内に、Zさんが気付くことが出来れば、100mの底から浮上するよりも、50mからの方が遥かに回復が早いわけだ。
私は、底付きに関しては、それほど重要だとは考えていなかった。ひと月ほど前に書いた記事を読んで頂くと分かる。
だが《底付き》の《底上げ》に関しては、Aさんの話を聞いて、とても新鮮な印象を受けた。
これまで連綿と書いてきた、この断酒ブログが、ほんの少しでも、読んで下さる方の《底付き》の《底上げ》に貢献しているとしたら、幸甚の至りである。
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