私は、河島 英五さんの『酒と泪と男と女』という歌が大好き。
この歌の中での男は、酒を飲んでいたころの私。
「飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで
飲んで 飲みつぶれて寝むるまで飲んで
やがて男は 静かに寝むるのでしょう」
歌の中での女は、酒を飲むわけではなく、泣いて寝てしまう。
「泣いて 泣いて 一人泣いて
泣いて 泣きつかれて寝むるまで 泣いて
やがて女は 静かに寝むるのでしょう 」
かつて、大酒を飲んでいた頃、数々の失態を演ずるたび、酒を一滴も飲まないかみさんは、黙々と酔っ払いおやじを介抱してくれた。
恥ずかしい話だが、ある真冬の深夜、トイレで尻を出したまま眠りこけていた事がある。しかも鍵を掛けて。そんな真夜中にも関わらず、酔っ払いおやじの尻を拭き、着替えさせ、布団まで運び、寝かせてくれたのが、かみさんと子供たち。
いい気分に酔っ払って、気付いたら布団に寝ている自分。なんと自分勝手なやつだ!朝方、正気に戻って、昨晩の話を子供から聞かされたとき、えええーーーっ!と、びっくり。ブラックアウトしているから、何も覚えていないのだ。
不思議な事に、私の家族は、そんな厄介者の酔っ払いおやじに小言ひとつ言わない。淡々と介抱してくれた。今まで何度も、何度も甘えてしまった。アホなおやじだ。
情け無い事に、この時にも、断酒しなければダメという事に気付かなかったのだ。
日曜夜のサザエさんで、波平さんとマスオさんがよく晩酌してるが、あの程度なら、平和だろうなあ。たまに、真っ赤な顔で、波平さんが酔っ払って帰ってくるけれど、泥酔まではしてないし。
私の酒は、家族を泣かせていた。家族には笑顔でいてほしいのに、酒絡みでは涙を流すことのほうが多かったかもしれない。
でも、断酒をしてから、私含め、家族みんなが笑顔になってきた。おやじひとりが酒を断つだけで、家は明るくなった。そこで、この歌の題名をひっくり返して、我が家はこれだ!
『断酒と笑顔と男と女』
これが一番幸せ!
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