先日、娘のことを書いていた時に、ふと、息子が生まれた頃のことが頭に浮かんだ。この子が20年後成人したら、親子で一杯やるぞ!と、勝手に決めて、一人でニヤニヤしてたこと。
この間、大好きな歌手の河島英五さんの「酒と泪と男と女」を引用させて頂いたが、同じく河島さんの「野風増(のふうぞ)」という歌の一節の光景を、頭に描いて、想像の世界では、早くも成人した息子と酒を飲んでいた。
『お前が20才になったら
酒場でふたりで 飲みたいものだ
ぶっかき氷に 焼酎入れて
つまみはスルメか エイのひれ』
自分より背丈も大きく逞しくなっている息子と、ぶっかき氷に焼酎入れて、スルメとかエイひれで飲むなんて、格好いいし、なかなか渋いなあ!
『お前が20才になったら
思い出話で 飲みたいものだ
したたか飲んで ダミ声上げて
お前の20才を 祝うのさ』
テーブルじゃなくて、カウンターの端っこに並んで座り、酒場を見渡して飲みつつ、息子に人生を教えてやるんだ。映画やドラマで、親子で飲んでいるシーンがあると、単純に、いいなあー、と憧れ、自分も、やってみるぞ!と意気込んでいた。
(どんな感じなんだろなー、親子で飲むって。楽しみだなー。あと20年したら、一体どんな青年に成長してるんだろう。息子とほろ酔い気分で、色んなこと、議論したいなー。つまみも飲み方も酒の種類も、おやじのオレが色々と教えてやるんだ)
まだ、夜泣きして、おむつも取れない頃に、その子と酒を飲む日を想像して、一人悦に入るなんて、おかしな父親である。というか、ヘンだな。一人で飲んでいればいいものを、息子まで酒に引きずり込もうなんて。
あと数年すると、念願の親子酒場デビュー、というところまで来てはいるが。。。酒場に行く事は、ない。淋しいなあ。でも、淋しがっているのは、おやじだけ。息子は、酒なんて飲まないと言っているし、おやじが大好きな居酒屋は、タバコの煙や、モツを焼く煙がモクモクしている上に、酔っ払いが沢山いてイヤだと言っている。
何しろ、成人を待ちきれずに、何度か連れて行って、焼き鳥や焼きとんを食べさせたことがあるから、酒場の雰囲気は息子も知っている。
酒場の件は、大幅に、路線変更。ではなく、中止。
でも、よし、おまえ、二十歳か!おやじと○○行こうぜ!とか、おやじと○○やろうぜ!という、○○が、私の場合、酒場の他に、思い当たらない。
唯一、子供が成長したら、教えてやるんだと意気込んでいた酒。その酒とも縁を切ったので、もう、「酒場」という選択はあり得ないのだ。
飲まないおやじのまま、息子の成長を見守るだけにしよう。
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