誰がどう考えても、実に当たり前の事実に、酒をやめてから、ハタと気付き、愕然とした。それは、今日のタイトルのとおり。ちょっと表現を変えると．．．
『酒を飲もうと飲むまいと、自分に与えられた時は淡々と過ぎ、今日も暮れて行く』
「おやじ」になったもんだ。若い頃に比べ、時が経つのが、妙に早い。２倍速、４倍速で私の横を、時間が飛び去って行くようだ。
時間経過の速度は変わらないのだから、心がそう感じているだけなのは分かっているけれど。（全然関係ないが、時間で思い出した。「ゾウの時間ネズミの時間」という新書をかなり前に読んだと思うが、題名しか覚えていない）
夕方になるといつもアルコールに酔って別世界へ旅していた。それが、つい数ヶ月前までの日常だった。与えられた時間は同じでも、飲まない今のほうが、遥かに充実している。
酒に逃げていた頃は、自分だけアルコールによる別世界に飛び、その間、身体だけこの世界に残していたわけだ。覚醒したとき、別世界にいた記憶すら無く、まして、この世界で自分の身体が何をしていたかなんて、何も覚えていない。
今は、酒という逃げ場がないので、記憶が連続しているし、脳がアルコールに乗っ取られることがない。２４時間、しらふの自分が、物事を正面から見据え、判断し、行動する。これ、酒を飲まない人には当たり前のことなんだろうけど、自分には、とても新鮮なのだ。
昨夜のどんな些細なことも、覚えている。家族に何か聞かれても、即答出来る。（「どんな些細なこと」と「即答」はちょっとオーバーかな（笑）加齢による物忘れが、最近多いから）
私の場合は、この地球上に人間として存在できる時間は、（寿命を全うしたとして）今まで生きてきたそれの半分もないだろう。今という一瞬の連続の、なんと貴重なことか！自分が自分で自分らしくいられる時間は、残り少なく有限だということを認識しよう。
アルコールが体内に侵入したときの自分は、自分ではない。アルコールに操られている。それを証拠に、酔っている時の記憶は、正気に戻った時には、綺麗さっぱり消えており、何も残っていないではないか！
巷の店に売っていて気楽に入手できる『酒』に逃げることは、簡単だが、醒めてから、何も解決しておらず、かえって問題が腐敗したり複雑化している。酒を飲んで酔っ払い、醒めてみたら、事が全てうまく運んでいた！なんて絶対にない。
いついかなるときも、自分ときちんと向き合い、逃げない。対処するのは大変かもしれないけれど、やってしまえば、すっきり片が付く。同じような壁が立ちふさがっても、もう怖くない。しらふの自分が一度料理してるから、頭の中にレシピが確立されている。どんとこい！だ。
それと、最近気付いたのだが、脳がピュア＆クリアな状態だと、どんな小さなことにも感動する。
道路脇にひっそりと咲く花。舞っている蝶。変な形をした雲。木陰で涼む猫。夜空に輝く星。轟く雷鳴。遠くにきらめく稲妻。お母さんに抱っこされてる赤ちゃん。子育てしてるツバメ。
（断酒してから、トイカメラを片手に、時間があるときにちょっとした花や風景や小動物を撮影するようになった）
飲んでいた頃は、泥酔して、寝てしまい、朝が来ても、残ったアルコールの所為で、不快なだけだった。なんとまあ、一度しかない人生の貴重な時間を浪費してしまったことだろうか。
というわけで、一句できた。
『熱帯夜 飲まぬご褒美 朝の凛』
短歌も作ってみた。娘と双眼鏡で夜空を見ていて、二首。
『飲みたいと 思う気持ちを 断ち切れば
ｈａｐｐｙな夜 贅沢（ぜいたく）な夜』
『酒断ちて 更け行く 夜の味わいは
飲むに勝りし 満天の星』
☆彡☆彡☆彡
泥酔してひっくり返っていた夜。晴れていれば空は、こんなにも綺麗だったのか！
改めて、生きていることと、自分が自分らしくあらねばならぬこと、を胸に刻んだ。
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