今晩(6月18日)の19時過ぎ、たまたまTwitterで、19時半から、NHKの「クローズアップ現代」という番組で、『あなたの飲酒 大丈夫?』という、アルコール依存症絡みの内容をやるというのを知った。
間に合う!ということで、テレビを点けて、スタンバイしていた。見ることの出来なかった人もいらっしゃるだろうから、どんなことを放送していたか、ちょっと詳しく書いてみる。
女性アナウンサーの「 今日、厚生労働省から発表された最新のアルコール依存症のデータによりますと・・・」に続いて、ある断酒会の人の発言が映し出された。
「我々には、一滴が一升へつながるのです。一滴も口に入れてはいけないのです!」
(こんなようなことを、力強く述べておられた)
2003年に80万人だったのが、10年後の2013年、アルコール依存症の人は、109万に増えた。約30万人も増加している。予備軍としての多量飲酒者を含めると、何と979万人もいるという。
因みに、多量飲酒者とは、日本酒なら3合以上、ビールなら中瓶を3本以上、毎日飲む人のこと。
先般施行されたアルコール健康障害対策基本法により、国は二年以内に対策を作るのだそうだ。
毎週開かれているアルコール問題を抱える女性たちの会が映し出された。
37歳の看護師の女性。最初に飲んだのは、25歳の頃、夜勤前にビールを飲んだという。次第に重症患者と向き合うストレスから、職場でもビールを飲むようになったそうだ。出産してから、子育てと仕事のストレスから、1日にビール1ダース飲むようになったという。
周囲から病院に行けと言われたが、自分がアルコール依存症であることを認めたくない気持ちが強く、行かなかったそうだ。結局、にっちもさっちもいかなくなり、入院することになったのが、それから3年後だという。
女性は、酒で無駄な時間、無駄なお金を浪費し、子供がかわいい盛りの頃を、アルコール依存の状態で過ごしてしまったことを、とても悔いていると、語った。
次に出て来たのは、46歳の男性だ。飲み過ぎて胃や胆嚢を悪くしては、いろんな医者にかかり、治療を受け、良くなるとまた酒を飲み、の繰り返しだったという。内臓に関わる医者にかかっても、一度もアルコール依存症の治療を受けるように言われたことがなかったそうだ。
やっと、精神科医と連携している内科医に巡りあい、現在はアルコール依存症の治療を受け、回復に向かっているそうだ。
久里浜医療センターの樋口医師が出演し、先ずはアルコール依存症者の脳について語った。
並べたのは、CT画像。左に50代の酒を飲まない人の脳。右に30代のアルコール依存症者の脳。見ると、飲まない50代は、脳がきっちり詰まっているのに、アルコール依存症の30代の脳は、前頭葉が萎縮し、スカスカ!
前頭葉は、酒を飲みたいという欲求を抑制する働きがあるのだが、アルコール依存症の人は、前頭葉が破壊されており、その抑制機能も失われてしまっているのだそうだ。
飲め飲め社会の日本では、かなり重症にならないと病院へは行かない。つまり、病院に来た時は、医者もどこから手を付けていいのか分からないくらいひどい状態になっている場合が殆どだそうだ。
アルコールは、他の薬物と違い、酔うまでにかなりの量を飲まなければならないので、脳を始め、身体の各部分に悪影響がかなりあるとのこと。
有名な、アルコール依存症の診断基準
1.飲酒への強い欲望
2.飲酒量がコントロール出来ない
3.離脱症状
4.耐性が上昇
5.飲酒中心の生活
6.有害と分かっていて飲酒
これら6つの内、3つが過去1年以内に同時に出ていれば、アルコール依存症だそうだ。中でも特に、樋口先生は、2.と3.が危険だと言っていた。
如何にハイリスクの人を早く見つけるかという事で、三重県四日市市の取り組みを、《三重モデル》ということで、紹介していた。
ここでまず、地元の精神科医の猪野先生の診察風景。中年の男性患者を診察している。
先生:「お酒は飲んでませんか?」
患者:「うん。飲んでない。ビールは飲んでる」
先生:「ビールもお酒ですよ。アルコールが入っている」
患者:「でも、ビールは薄いから・・・」
(正確ではないが、こんなようなやりとりだった。)
この猪野先生のクリニックでは、地元と連携して、精力的にアルコール依存症患者の治療を行っている。
《三重モデル》というのは、内科医、救急医、警察・県、保健師などが、アルコール依存症の疑いのある人を、精神科医への受診をするように、促すのだそうだ。それと、県の条例を作り、飲酒運転で違反した人の情報を警察から県にあげ、県から該当者に、アルコール依存症の疑いがあるので、医療機関を受診するように封書を出すという事もしている。
ただ、《三重モデル》にも課題はあり、それらのことは義務ではなく善意なので、限界があるそうだ。診療報酬に入れるとか、何かしらの報酬に結びつかないと、効果が上がりにくいということだ。
今回の法律施行について、酒造メーカーに期待することは、樋口先生からだと、酒のあからさまな広告やCMをもっと考えてほしいということと、酒の廉売をやめてほしいということだった。
外国の事例ということで、
フランス:TV/映画での広告禁止
アメリカ:ビールを飲むシーンはダメ
イギリス:酒と「勇気」「自信」などとを結びつけた広告は禁止
ということも、取り上げていた。
最後に、樋口先生の言葉。
①予防が一番大事
②治療の質の向上も大事
③治療すれば治る(回復する)病気だということを、ちゃんと知って、早く医者に掛かることが大事
ということで、ちょっと長くなったが、番組でやっていたあらましを整理してみた。僅か30分弱の番組だったが、私はメモを取りながら、真剣に見た。何か間違いがあれば、教えて頂きたい。訂正しようと思う。
私の感想。
アルコール依存症及び、その予備軍である多量飲酒者の数が増えているのは、大問題なのに、やっぱり、法律が出来たところで、大した効果が上がらないのではないかと感じている。
何故かというと、酒を飲むことが前提になっているからだ。そもそも、酒の定義が曖昧すぎる。はっきりと、酒は毒だから飲むな!という事は出来ないとしても、もっとその毒性を前面に押し出して、飲酒人口を減らす方向に持っていかなければ、いつまでたってもイタチごっこは続くだろう。
先日も書いたが、小学校・中学校・高校で、徹底的に飲酒(酒害)教育をやってほしい。未来の大人たちに、酒の怖さや危険性を教えなければ、今後もアルコールの害は増えこそすれ、減ることはないだろう。
更に、次のようなことが、気になった。
・《飲め飲め社会》を改める方向へ持っていく気が国にあるのかどうか。
・現状では、既にアルコール依存に陥っている人を救うという対症療法が一番大事だと思うが、将来は、どうしたいのか。
・明らかに原因が分かっているのに、このままだと、いつまでも対策が後手に回る。
*広告
↓↓↓※コメント欄は、承認制にしています。すぐには反映されませんが、必ず、読んで承認しますので、お待ち下さい<(.".)>
(まことに勝手ながら、コメント内容によっては、承認の前に、削除することもあります)