乱心と安心。
二文字目に『心』が付く言葉だが、『乱』れるのか、『安』らかなのか、頭に付くたった一つの漢字で正反対の心模様である。
『乱心』・・・心が乱れ、狂うこと。逆上したりして分別をなくしてしまうこと。
『安心』・・・気にかかることがなく心が落ち着いていること。また、そのさま。
こんなことを思ったのも、ネットのニュースでたまたま下記のような、先生方の飲酒ご乱心記事が目に入ったからだ。
一つ目。2014年7月4日。
大阪で、57歳の府立高教諭が卒業生への強姦未遂の疑いで逮捕された件。
『大阪府警吹田署は4日までに、強姦未遂容疑で府立高校の保健体育教諭(57)を、女子大学生(21)に乱暴しようとしたとして、逮捕した。
逮捕容疑は6月下旬の未明、同府吹田市のマンション駐車場で女性に乱暴しようとした疑い。女性の叫び声を聞いた住民が駆け付けたため、同容疑者は現場から立ち去った。女性の被害届を受け、同署がマンションの防犯カメラを調べたところ、女性の体を触る様子が写っていた。
女性はこの高校の卒業生で、同容疑者や他の教諭らとの飲み会に参加し、帰宅途中に襲われた。同容疑者は「酔っていた女性をタクシーで送ったことは覚えているが、それ以外は記憶にない」と容疑を否認しているそうな。』
二つ目。2014年7月12日。
岐阜で、小学校教諭が同僚の女性を殴り重傷を負わせた傷害容疑で逮捕された件。
『酒に酔って同僚の女性教諭(42)を殴って怪我をさせたとして、岐阜県警岐阜中署は12日までに、傷害容疑で岐阜市立小学校教諭(38)を現行犯逮捕した。同署によると、容疑を認めているという。女性教諭は殴られて転倒した際に頭を打ち、急性硬膜下血腫で入院約1カ月の重傷だという。
2人は他の同僚教諭4人と懇親会を開き、約30分前に現場付近で解散した。2人の間にトラブルはなかったという。逮捕容疑は11日午後11時25分ごろ、同市蕪城町の路上で女性教諭のあご付近を殴り、あごと頭にけがをさせた疑い。』
両方とも共通しているのが、複数メンバーで飲み会を開き、酒を飲んでいることと、その事件の発生時間が、深夜という事だ。大体この手の飲み会の開始時間は、18時とか19時とかが多いだろうから、23時まで飲んだとして、4~5時間は飲酒していたのだろう。飲むペースにもよるが、かなり大量のエタノールが体内に入っていたことだろう。
もちろん、飲み始めは、例のワクワクドキドキ感で心が一杯で、先ずは”カンパーイ!”から、和気あいあいと時間が流れたのだろう。そして、エタノールがじわじわと脳に麻酔をかけ、会計が済んでお開きとなった頃、ついに理性を司る大脳君は眠らされ、本能がむき出しとなる頃合い・・・
一つ目の57歳の高校教諭の「記憶にない」と言うのは、当たり前の話だ。シラフでもないのに、鮮明に記憶しているわけがないからだ。しかし、防犯カメラに映った姿が全てを物語っているのであり、酔っ払いの否認など一蹴されてしまうであろう。
二つ目の38歳の小学校教諭。容疑を認めているのはいいとして、その前に、大の男が、拳で女性の顔を殴るなんて、シラフでは考えられない。私はボクシングをやっているので分かるが、相手の顎に当たるパンチを、利き腕の素手の拳で至近距離から放つなど、殺人行為である。パンチが当たった瞬間、頭蓋骨の中の豆腐のように柔らかい脳は、物理的に歪む。この女性は、その上、転倒し地面に頭をぶつけているので、更に脳に衝撃が加わってしまった。
酒の飲み過ぎによるエタノールの過剰摂取は、人間を理性のない動物へと貶める。シラフの時に行動を司っていた大脳が眠らされ、怪しい本能が身体を操る。恐ろしいことだ。
ところで、『安心』とは、もともと「あんじん」と読む仏教用語から来ている。仏法の功徳によって、迷いがなくなった安らぎの境地だそうな。こんな高尚な境地にはとても到達するのは難しいが、断酒することで、少なくとも飲酒による乱心は絶対にない、という安心感は、得られる。
この二つの事件とも、アルコール依存症であろうとなかろうと関係がない。普通に飲酒している人なら誰であっても、いつもより飲み過ぎてしまうという条件で加害者になりうる。
飲酒による乱心を取るのか。
断酒による安心を取るのか。
選ぶのは自分だ。
写真は3枚とも、今は亡き義父が4年前の今頃の時期に撮影したもの。上からアザミ、チョウトンボ、桔梗。今日の話題の『心』という事で、ちょっと、ハートの形にしてみた。
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