今日の夕方、かみさんと近所のスーパーへ食材の買い出しに行ったときのこと。
会計はかみさんに任せ、先に袋詰めしようと、商品の入ったカゴに手を掛けた、まさにその時、後ろから、同じようにカゴを持った白髪の老人が、私の背中にそのカゴを勢い良くぶつけながら、一言もなく、通り過ぎた。その光景は、レジで支払い中のかみさんも目撃していた。
ちょっとムッとしたが、これも怒らない練習の一環だと思い、ゆったりと歩いて、商品を詰めるため、空いているテーブルを探した。
店内のテーブルは先客で一杯なので、外のテーブルを目指して自動ドアを通過した時、先ほどの白髪の老人が、自動ドア近くの、積んである買い物カゴの上で、商品を袋詰めしているのに気付いた。
テーブルに置いてレジ袋に詰めるなんて、そんな悠長なコトはやってられない、というようなせかせかした雰囲気だった。
一体何を買って、詰めているのだろうと、ちょっと覗いたら、「○結」とかいう、缶酎ハイのロング缶だけ、10本ばかりそそくさとレジ袋に詰め込んでいた。その他は何も買っていない。目も顔も赤く、どうも酔っ払っているように見えた。
会計を終えたかみさんも出てきて、その老人に気付いた。外で私と袋詰めをしながら、
「あのお爺さん、目が充血してるし、酒臭いよ。酒が切れちゃって、買いにきたんじゃない?」とかみさん。
目と顔が赤いと思ったけれども、酒臭いというのは、私は気付かなかった。一滴も飲まないかみさんの方が敏感なので、酒臭い老人だったのだろう。家で飲んでいて、やおら思い立って、何らかの事情で酒を買いに来たのは確かなようだ。
(←こんな雰囲気の老人だった。このイラストよりは、もっと老けて、頭が白く、顔が赤かった)
何歳くらいだろうか。恐らく、七十代半ばくらいだったか。
あと20年もすれば、自分もこの老人のように年老いて、どこから見てもお爺さんになっているだろう。もちろん、生きているとしてだけれども...
この老人は、先日詠んだ短歌の実証の為に、私の前に出現してくれたのだろうか。その短歌を再掲してみる。
『飲み続け 老醜さらす リスクより 今からやめて 綺麗に枯れん』
今の私は、ほとんど飲酒欲求を感じなくなって、日頃身体に入れる水分としては、水、麦茶、コーヒー、緑茶といったところだ。昨夏、あれほど飲んでいた炭酸類は、極たまに、そう、週に1度飲むかどうか、そんなところだ。
今夕、スーパーで見た老人は、自分の為の酒しか視界に無い。それを早く飲みたい一心で、とにかく先を急いでいたようだ。
人間みな生まれ、成長し、老いる。その先には平等に死が待っている。
飲み続けたければ、死ぬまで飲むも良し。但し、酒で老醜を晒すこともある。
私は、綺麗に枯れる方を選んだ。年老いて、腰が曲がって歯も抜けて、もしかして老人性痴呆症になっているかもしれないが、少なくとも、酒が原因で老醜を晒すことは無いと信じている。
*広告
↓↓↓※コメント欄は、承認制にしています。すぐには反映されませんが、必ず、読んで承認しますので、お待ち下さい<(.".)>
(まことに勝手ながら、コメント内容によっては、承認の前に、削除することもあります)