「今日一日だけと思って、断酒しよう」
私は、断酒を始めたころ、本当にそう思って、つらい日々を、一日一日と重ねた。その後、いろんな方の断酒のブログや、断酒会のサイトや、書籍などでも、同じようなことが書かれているのを読んだ。
ただ、いくら今日一日だけと思っても、やっぱり、ツライものはツライ。それはなぜかと言うと、今日一日だけ、と思いつつも、明日をもついでに考えてしまうからである。現に今つらい断酒を実践されている方が、「今日だけ」と自分に言い聞かせていながら、「明日も飲めないんだ」と同時に思ってらっしゃるかもしれない。
実は、私もそうだった。つらいのは、今日だけだ。今日一日だけ飲まないんだ、と心の中でつぶやきつつも、もう一人の自分が、「明日も飲めないからつらいよ。あさっても、その次もね・・・」と脅してくるのだった。
それでも、何とか継続し、酒断開始から一年を過ぎた頃、私はやっと酒を我慢する苦しみから解放された。酒のことを殆ど思わなくなって、人生とか命とか死について深く考えるようになった。あの、飲んだくれの私が、である。
そして、今朝、「今日一日だけ」について分かったことがある。
早朝、曇天の下、スロージョギングに出かけた。”地域猫”（野良だけど、ボランティアの人が世話してる）がいるコースへ足を向けた。人懐こくて可愛い猫が、何匹もいるのだ。
いつものポイントで立ち止まり、猫に近寄って、頭を撫でてやったり、ちょっと抱っこしたり。（私は、猫が大好き。猫の方も、猫好きの人を分かっているみたい。）
猫にバイバイして、また走り出し、深呼吸して、朝の新鮮な空気を肺一杯に吸い込んだときに、閃いた。あー、これか、これだったのか、と分かったというか、腑に落ちたことがある。それは・・・
「今日一日だけと思って、断酒しよう」の、本当の意味である。
（と言っても、飽くまでも、私の考えでしかないが・・・）
今頃分かったのが、遅すぎという感があるけれども、今、正にその気持ちで断酒に挑んでいる方に、ちょっとだけ長く酒を断っている私からのメッセージということで、お伝えしたいと思う。
それは、人間の誕生から死までを、本気になって見つめて考えてみると、誰でも分かることだ。
「今日一日だけと思って・・・」の、何が今日一日だけなのだろうか？それは、実は断酒ではなくて、私の”命”つまり、生命が今日一日だけと思わなければならないということ。何と大げさな！と思われるかもしれない。
けれども、今、こうして生きているということが、実は奇跡の連続であると言うことに気付けば、今日一日だけの命を、もっと大事に生きようと思うはずだ。
今日一日だけの命を燃やそうとするならば、酒なんぞ目に入るわけがないし、飲んではいられないだろう。０時に今日がスタートして、起きた時に既に何時間か過ぎている。２４時まで、どうやって過ごそうか。
本当は、
「今日一日だけと思って、断酒しよう」
ではなくて、
「私の命は今日一日だけと思って、積極的に、明るく生きよう」
なのではないだろうか。
広大無辺の大宇宙の中に無数にあると言われる銀河団の中の、銀河系という渦巻き銀河の中の、２０００億〜４０００億個とも言われる恒星の中の、太陽という恒星を回る地球の上に、たった今、私の命は生きているのだ。
宇宙の１００億年単位の時間スケールから見たら、人間の命など、夏の夜の、パッと上がって、ドーンと開いて終わる花火よりも儚く短い。奇跡の命を生きているのである。酒なんぞ飲んで酔っ払っていると、あっと言う間に、貴重な時間が消えてしまう。
こりゃまた、良い事に気付いたなぁー！と、往路で思いついた自分を、復路の自分が褒め称えた、今朝のスロージョギングであった。
やっぱり、ＬＳＤ（Ｌｏｎｇ（長時間）、Ｓｌｏｗ（のんびり）、Ｄｉｓｔａｎｃｅ（ちょと離れた所まで））の有酸素運動は、脳にも良いようだ。
酒やめたら、今まで飲んだくれで潰れていた時間に、ウォーキングとか軽いジョギングなどを始めて見ると、身体も心も、喜ぶかも。
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