１１月１６日（２０１４年）に書いた、『♪二日酔い酔い老後がコワイ（断酒１年２４７日目）』と言う記事に寄せられた、アップルさんからのコメントが、身に染みた。
以下、コメント欄より、転載。
「のみすけさん 初めまして。アップルと申します。 今までコメントせず拝見していましたが、初めてコメントさせて頂きます。 私の両親は私が１７歳の時に父のアルコール依存症が原因で離婚、その３年後に肝硬変で亡くなりました。 のみすけさんもお子さんがいらっしゃるとの事で、つい自分の幼少時代を思い出してしまいました。 私の父の生前の思い出といえば常にお酒を飲み泥酔状態で会話もままならない状態ばかりです。多感な時期でもあったので父の事は大嫌いなまま別れとなってしまいました。 のみすけさんもお子さんがいらっしゃるとの事で、お子さん達はお父さんがお酒をやめていて本当に幸せだと思います。 是非今後もし飲みたくなってしまった時に少しでもお役にたてればと思いコメントしました（そんな必要はないかもしれませんが） これからも毎日ブログ更新楽しみにしています！ 」
読んでいて、心が熱くなって来た。ご両親が離婚された時、アップルさんは１７歳だったと言うくだり、息子が今１６歳なので、ほぼ重なったのである。コメントの返信にも書いたのだが、もしアップルさんのお父様が、酒を飲まない或は、飲んでいても、断酒の方向へ進んだならば、お父様ご本人も、アップルさんもお母様も、全く違う人生であったろうと．．．
それと、沢木耕太郎の『世界は「使われなかった人生」であふれている』と言う本の事を思い出した。
２０１３年１２月３日の記事『世界は「酒に囚われた人生」であふれてる』（断酒２６４日目） でも、この本について言及している。この時は、酒に囚われてしまった人生について考えたので、今日は、もしも酒に囚われていなかったら、と言う事について書いてみよう。
「使われなかった人生」とは．．．これまで生きてきた自分の人生ではなくて、タラレバ思考なってしまうが、もしあの時○○を選んでいたら、とか、あそこで△△の方へ進んでいれば、と言う、実際に実現していたかもしれない人生という意味である。
誰でも、毎日、目の前にＹ字路が現れる。ランチをラーメンにしようか定食にしようか程度の事から、好きな人にそれを告げようかどうしようかとか、更には、もっと重大な、その後の人生が変わってしまうようなものまで。
子供の頃は、ある程度の道筋は親が示してくれる。だが、十代後半ぐらいになれば、誰でも自分で決断するようになる。いつまでも誰かに頼るわけには行かないのが人生である。
後から振り返った時に、成功していたとしても失敗していたとしても、その時に自らが下した決断は、ベストだったはずである。もう一度時間を遡ってやり直すことは出来ないのだから。
ただ、ひとつだけ、「酒を飲み始め、飲み続ける人生」というのは、もう一つの選択肢としての、「酒を飲み始めなかった人生」を対極に考えて見ると、どちらが良かったのか、自ずと答えは出てくる。もちろん、問題なく楽しんで飲んでいる人は、「酒を飲み始め、飲み続ける人生」でＯＫ！だが、問題を抱えながらも酒をやめられない人生を歩んでいる人は「酒を飲み始めなかった人生」を乞い願うのではなかろうか。
時間は一方向にしか進まないから、この《たった今》から、酒の味を知った頃に戻れはしないが、《たった今》、断つ決断をすることは出来る。ここで、飲酒の連続を断ちきることは出来る。簡単な事ではないが、自ら経験した私が、酒断ちにチャレンジする価値を考えて見ると、武者震いするくらいだ。値千金というやつだ。
「酒を飲み始め、飲み続ける人生」
「酒を飲み始めなかった人生」
に、もうひとつ、
「酒をこれまで飲んできたが、途中で断った人生」
と言うものがあるのだ。
私は、あの世へ旅立つ時に、「あの酒を、途中で断ったぞ！」と、呵呵大笑して逝く予定。
ところで、高倉健さんの、酒井雄哉大阿闍梨から送られたという座右の銘
『往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし』
素晴らし過ぎて、私には遥かに遠い目標だけれども、是非ともこの言葉のように生きたいし、逝きたいと思った。
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