Point of No Return[ポイント オブ ノー リターン]
略してPNRとも言う。
航空用語で、帰還不能点。飛び立った飛行機が、もはや出発点に戻る燃料がなくなる点。ここから転じて、「もはや後に引けない段階」の意味もある。
これは今日、たまたま書店で手に取った本に出ていた言葉だ。目が釘付けになり、頭の中に《ポイントオブノーリターン》が、ズズズと入って来た。自分自身の過去を思い出して、「うわぁ~。危なかったんだなぁー」と、何だか背筋が寒くなった。
私はたぶん、PNRの手前で気付き、やり直しの燃料が残っている内に、出発地点に戻ることが出来たのだ。
否認の病と言われているから、「オレはアルコール依存なんかじゃない!病気じゃない!」と、ずっと否認して飲み続けている人は、あっさりとPNRを通過してしまうのかもしれない。
問題飲酒に於ける、このPNRという位置は、当事者以外の第三者(家族、友人など)には見えている。だが、それを本人に気付かせることは中々難しい。しかも、本人が気付かなければ、断酒のスタートラインに立つことが出来ない。
考えてみれば、問題飲酒者とは、《飲酒空港》を飛び立って、目的地のない飛行を続けている航空機のようなものだ。飛び続けても、着陸する空港がないのだ。何れ燃料が尽きて、墜落するのが分かっているのに。
PNRを通過する前に、ギリギリセーフで気付き、出発地に引き返せれば、人生もやり直しが効く。
あなたのPNRは、まだ先かも知れないが、酒を断たない限り、そのポイントに着実に近づいていていることは確かだ。断って出発地へ引き返そう。フラフラと飛行を続けても、燃料が尽きて、制御不能となり、どこかへ落ちて終わりだ。
それぞれの飲んだくれには、それぞれのポイント・オブ・ノーリターンがある。そのPNRに達する前に、自分の状態に気付き、断とうと決意し、実行すれば、間に合う。
冒頭にも書いたが、恐ろしいのは、手遅れとなった場合である。もはや、そうなった人は、落ちるまで、ひたすら飛び続けるのだ。
酒の問題に気付いた人、目覚めた人は本当に幸いだと思う。
出発した空港まで引き返す航路が、ある意味では、断酒開始から飲酒欲求との闘いの期間なのかもしれない。無事着陸出来た時、ある程度断酒にも慣れて、快適な生活になっていると思う。
あとはもう二度と飛び立たないことだ。
飲酒飛行は、離陸するのも、上空で機体を維持するのも、結構な燃料(アルコール=お金)が必要であり、航続距離(飲酒期間)が延びるほど、心身が蝕まれる。
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