『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?(池谷裕二著/新潮文庫)』
以前に、ブログ読者の野の百合さんから教えて頂いた本。著者は、東京大学の准教授で、40代初めのバリバリの研究者だ。
私たちの「脳」について、様々な角度から色々な考察がなされており、実に面白かった。アルコールに関する記述もあったので、ちょっぴり紹介してみよう。
章のタイトル《⑤脳はなにかと理性を失う
― アルコールでストレスは解消できるのか》
和歌山県立医科大学の先生の、ネズミによる実験が報告されている。「Zif268」と言う遺伝子に着目して、ネズミにストレスとアルコールを与える実験をしたそうだ。
詳細は省いて、結論を書くと、アルコールを飲むのは、ストレスを発散したような気分になっているだけであって、身体はストレスを感じ続けている。酒は、ストレス回避にはつながらない。
そして、酒でストレスが解消できないならば、どうしたらいいのかについて、とても分かりやすいアドバイスが載っている。
「重要なのはストレスを解消するかどうかではなく、解消する方法を持っていると思っているかどうか」
ちょっと分かりづらい文章だが、こう言うことだ。
例えば、クラッシック音楽を聴くとか、テニスをするとか、自分の好きな音楽やスポーツによって、ストレスが解消する、と思い込むことが大切なのだと。一種のプラシーボ効果だろう。
ストレス解消よりも大切なのは、ストレスを必要以上に恐れず、「ストレスよどんと来い。私はいつでもストレスを解消出来るんだ」と言う気構えを持っていること。
著者の池谷先生は、お酒が好きで毎日飲んでいる自分が言うのもおかしいが、脳の為には、アルコールは一滴も飲まないほうが望ましいとおっしゃっている。
このアルコール絡み以外で、面白かった箇所をひとつだけ、書いてみよう。
章のタイトル《⑨脳はなにかと錯覚する
― ヒトも動物も、なぜか”赤”が勝負強い》
ボクシングやレスリングなどの格闘競技では、赤と青のウェアやプロテクターが割り当てられる。赤でも青でも勝率は同じだ...と思ったら、大間違い。アテネオリンピックでの格闘技四種目の試合結果を詳細に調査してみたら、全ての競技で、赤の勝つ確率が高かったそうだ。
さらに、サッカーも調べたら、赤のユニホームを着た試合のほうが得点率が高かったそうだ。
柔道着は白と青だが、さて、どっちが強いのだろう?これも統計が出ていて、青のほうが勝率が高いそうだ。
と言うような、私たちの脳の「クセ」について、25章に分けて書かれている。きちんとした実験結果も添えられていて、納得できる。
文庫にもなっているくらいなので、入手しやすいはず。是非、ご一読を!
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