俯瞰・・・鳥瞰とも言う。高いところから見下ろす。
{見下ろす(みおろす)であって、見下す(みくだす)ではない!}
井戸の中に蠢く酒飲みたち。かつては私もその中にいた。でも、一旦この井戸を出て上から懐中電灯で照らしてみると、あれま、恐ろしや。
飲んだくれ妖怪が跳梁跋扈の世界ではないか!
現に...
昨日に引き続き、電車の中で、今日も飲んだくれ妖怪に出会った。昨日は、臭いだけだったが、今日は、何と、私の隣に鎮座ましましていた。
15:40頃、所用で飛び乗った山手線。ちょうどひとつ座席が空いていて、座れた!ラッキー!...ところが、臭い!酒臭いのと、風呂に何か月も入っていないような匂いと、ダブルだ。
私の左隣りに座っている、長髪&長髭の40代後半くらいの男。頭はフケだらけで、服も汚れ放題、手にはレジ袋で覆われた、ワンカップサイズの焼酎を持っている。古ぼけたメガネの下の眼球は、見開かれているものの、視線が定まっていない。
何やらブツブツ呟いては、口に焼酎を運び、ひと口ゴクリと飲む。暫し呆然と前方を見る。また、ブツブツ呟いては、口に焼酎を運び、ひと口ゴクリと飲む、暫し呆然と前方を見る、の繰り返しだった。
私は、下車する駅が近づいて来たので、ひょいと腕時計で時間を見た。釣られてか、何故かその男も左手をひょいと出し、腕時計を見た。風貌には似合わず、腕時計だけは高級品で、驚いた。但し、私の腕時計は15:40を差しているのに、男のそれは、9:20だった(笑)
昼間からの酔っ払いには、時間などどうでもいいのだろうか。
私と左隣りのその男は、ほんの10分ばかり一緒に並んで座っていた。私の二つの目と、男の二つの目。見えている世界は全く違うようだ。
昼間からの酔っ払いと言えば、もうひとつ、昨日の目撃談がある。
まだ日暮れには早い、15時過ぎ、徒歩の老人(T)と、自転車の老人(J)がすれ違いざま、お互いを認識し、立ち止まり、話を始めた。自転車の老人は、顔が真っ赤だ。
J:「いや!ごぶさた!」
T:「あれ、どうしたの、もう出来上がってんの?」
J:「あははは!もうひっかけて来たんだけどさ、恥ずかしいな」
T:「気を付けて帰りなよ」
その人の人生なのだから、昼間から酒を飲もうとどうしようと勝手だが、老後の平日が酒にまみれているなんて、ゾッとする。
酒と言う飲み物は、人を簡単に変えてしまう、空恐ろしい飲み物だ。私は、アルコールまみれの世界から脱出し、酒の不要な暮らしをしつつ、日々酒の怖さを反芻している。
ちょうど、鳥が空から見るように、酒や飲んだくれを俯瞰している。酔っ払いに遭遇する度に、自分が酒をやめたことを、心の底から喜ぶ。
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