『酒のやめ方講座(中本新一著/社会評論社)』
今年[2017]の9月に出版された、新しい本である。
著者は、なんと、本の出版時点で断酒歴34年6カ月の72歳の方である。
え~と、今年の9月時点で、私のみすけの断酒が4年6カ月なので、著者の中本さんは、それより30年長いわけだ!
専門医から「アルコール依存症」の診断を下されたその日から、ピタリと断酒し、以来、一滴も飲んでないそうだ。
しかも、ずっと断酒会をメインに、AAにも顔を出すことを続けていらっしゃるとのこと。
本のタイトルが「講座」なので、中身も、目次が第一講~第五講と、分かれている。
第一講・酒と日本人
第ニ講・酒害者を医療につなぐ
第三講・酒を断ち続ける方法
第四講・日本はアルコール依存症にどう対応してきたのか
第五講・手記「酒びたりの我が半生」
日本のアルコール依存や、自助の会の現状などは、最近の統計データや研究結果の資料を駆使して、また、断酒会とAAとの違いなどは、ご自分の経験から、誰が読んでも分かり易く書かれている。
全体を紹介することも出来ないので、ふたつばかり私が知らなかったことを、書いてみよう・・・
先ず、断酒者に対して、アメリカの人が日本人と全く違う捉え方をしている点。
アメリカで、アルコール問題に対する意識調査があって、次の分類の人について、一番素晴らしいと思うのは、どれかと。
1.アルコール依存症からの回復者
2.現在酒を飲んでいる人
3.全然飲まない人
4.ソーシャルドリンカー(機会飲酒者)
何と、1.が一番素晴らしいと。二番目が、3.全然飲まない人。三番目が4.ソーシャルドリンカーだったそうだ。
アメリカ社会では、どん底から這い上がって来た人を高く評価するからではないかと、著者は述べている。
日本では考えられない!
次に、我が国の、アルコール依存症の対策が始まる前の、精神衛生法の時代の、アル中に対する恐るべき対応について。
著者の中本さんは、精神衛生法の時代に関西の専門病院に入院されたそうだ。
当時は、飲酒して初診を受けたというだけで、反省室(関西での通称「ドボン」)に放り込まれた。
金属製の重々しいドアに閉ざされた六畳ほどの広さのドボンは、板の床で、天井からは弱々しい裸電球がぶら下がっているだけ。ドアの右横には、長方形の穴が開いている。トイレか?真っ暗で時間も分からない。
当時の看護士の対応の酷さも書いてある。
これを読むと、同じアルコール依存症になったとしても、現代のほうがずっと良いではないか!と、つくづく感じた。
と言ったところで、『酒のやめ方講座』の読書感想は終わる。
興味ある方は、どうぞ、読んでみてほしい。
が、とても良い本なので、この程度で終わらせるにはとても惜しい。
まだまだ紹介したいこと、読んで私が考えたことがあるので、続きは、本日のメルマガに書く予定。メルマガ読者の方、乞うご期待!
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