のんべーのお腹には、《酒虫》がいるらしい・・・
何十年かぶりに、芥川龍之介の短編を読んだ。それの題名が「酒虫」。
ご存知の方もいらっしゃるだろうが、ストーリーを書いてみる。
どんなに酒を飲んでも全く酔わない主人公・劉氏のもとへ、ある日、坊さんが現れ、それは腹の中に《酒虫》がいる所為だと言う。坊さんが駆虫してくれるとのことなので、劉氏は任すことした。
駆虫には、身体を動かしてはいけないので、坊さんに縄でぐるぐるに縛られて、真夏の炎天下、畑に転がされて、劉氏は汗を掻く。頭の近くには、飲みたくてたまらない酒が甕になみなみと入っている。
暫くすると、身体の奥底からもぞもぞと、食道を通って、口からヤモリのような《酒虫》が飛び出して、酒が入っている甕の中にどぼんと・・・
ネットで誰でも読める「青空文庫」に収録されているので、その後どうなったか興味のある方は、そちらを読んで頂きたい。
私がこの物語に魅かれたのは、この《酒虫》が、自分の身体の中にも棲んでいるような気がしたからである。
酒を断って数週間、一番苦しかった頃、酒が飲みたくて飲みたくて、身体の中、胃や腸の中から食道のほうへ、込み上げるような、手が出て来るような、そんな感覚に悩まされたのを思い出した。
《酒虫》が暴れていたのだろうか。
もちろん、現実にはそんな虫は存在しないが、心の中には《酒虫》が存在し続けていることは確かだ。
そいつは、断酒前には心の中を全て占めるくらい巨大な大きさだが、断酒の時間経過と共に、どんどん小さくなる。いなくなることはないが、うまくすると、蟻くらいに小さくすることが出来る。
メルマガを登録して下さる方で、今はまだ飲んでいるけれど、本当はやめたい。このブログやメルマガをやめるきっかけにしたい、と言う方がいらっしゃる。
これから酒をやめてみようと思っている方は、イメージとして、自分の中にいる《酒虫》を、どうやって飼い慣らすかを考えると良いかもしれない。
この《酒虫》は、自分の考えとは裏腹に、何しろ酒を飲ませろ!の一点張りの困った虫だ。小説のように駆虫することは出来ず、一生身体の中に飼い続けなければならない。
酒を断って、《酒虫》の餌であるアルコールを与えないようにしていれば、こいつはどんどん小さくなって行く。
今は苦しいかもしれないけれど、断酒は、考え方ひとつである。
どうやって酒を飲まないで過ごすか、自分なりに色んな工夫をしてみるのも、断酒の楽しみのひとつだ。
どうせなら、苦しみを楽しもう!
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