30分の為に、1日があった。
30分の為に、一生が無になるかも知れなかった。
30分とは、アルコールが回って酔いが始まってからの30分である。
素面だった自分が、薬物アルコールの薬理作用によって、現実から逃避して行きつつある状態、つまり気持ちがふんわりする感じを自覚出来ている時間が、ほぼ30分。
それを過ぎると、中身が酔った自分に変性しているので、最早酔いの効果は認識出来ていない。本来の自分が、アルコールによって塗り替えられてしまったのだ。
この、たった30分を得たいが為に、ついつい酒に手が伸び、 貴重な一日を浪費してしまうのだった。
この30分の話を聞いた時、なるほど!と腑に落ちたのは、確かに私もその通りだったからである。
酔いたいが為に飲んでいた酒だが、酔っていること・酔いつつあることを自覚出来ている自分は、酔いが回るまでの、酔っていない自分だった。その時間が、約30分。
断酒仲間との会話が楽しいのは、やめてから随分と経った今でも、鋭く胸に突き刺さる気付きが得られるからである。自分が体験していたことを、別の角度から掘り起こし、酒の怖さ・バカらしさを改めて感じることが出来るのだ。
この話をしてくれた方は、ある期間の断酒の後のスリップを経験されており、その時の飲み方は異常だったとおっしゃる。
右手にビール、左手に焼酎。それでも足りず、あらゆる酒を次から次へと飲み、気付けば激しい後悔をするのだが、それを打ち消す為に、また飲む。この悪循環から抜けるのには、最初の断酒よりもより多くのエネルギーが必要だったとのことだ。
30分の快楽の為に、人生を棒に振っている人がこの世には沢山いる。
ほろ酔い程度で飲酒を済ませられる人は、自分が酔うまでの経緯を把握出来ており、的確に飲酒をSTOPすることを心得ている。
ほろ酔いを遥かに超えて酔ってしまう人は、ほろ酔い程度では身体が満足しないのだ。アルコールに対しての脳の反応が、生まれつきそのように設定されているので、自分でそれをコントロールしようとしても出来るわけがない。
たった30分、気持ちよくなりたいのなら、30分歩く、30分泳ぐ、30分散歩する、30分気の合う人と会話する、30分好きなものを食べる・・・他にも色々とある。
酒に酔う為の30分は、一生を無駄にするかもしれない。
このことは、自分の経験から言えるので、断酒の気付きとして、皆さんと共有したかった。
酒に逃げても、その効果はたったの30分で終わってしまい、残るのは、激しい後悔だけである。
*広告
↓↓↓※コメント欄は、承認制にしています。すぐには反映されませんが、必ず、読んで承認しますので、お待ち下さい<(.".)>
(まことに勝手ながら、コメント内容によっては、承認の前に、削除することもあります)