今日は、自分の中に突如として湧き起こった、実に実に、矛盾した気持ちに、我ながら無性に腹が立った。が、相手は自分なので、殴るわけにも叩くわけにもゆかぬ。
『飲みたい酔いたい』
日曜の昼前から、こんな気持ちが、怒濤のように押し寄せてきた!今日で80日目となった断酒だが、今までで、一番強い波が来たようだ。
飲酒の快感を記憶している脳の一部分が、アルコールを入れろと逆襲している。
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一度くらい、スリップしても、いいさ。ちょっと出て、缶ビールと焼酎買ってきて、飲んでさ、酔ったら寝ちゃえばいいよ。また、明日から断酒で行けばいいじゃん。
今日は休みなんだし。誰にも迷惑かからないよ。
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こんな甘い言葉が、頭の中に響いた。
飲むのは簡単。酔うのも簡単。買ってきてゴクゴク飲むだけだもの。でも、それをしてしまったら...恐ろしい!けれど、自分の心の中の悪魔が、そっちへ引っ張ろうと、物凄い力を出している。
断酒を継続出来ているからといって、全て悟った仙人のようなわけには行かないんだなあ。お酒の魔力と戦う人々の一人として、そんな気持ちが湧いてきても、振り払い、脱ぎ捨てる。目を閉じ、自分と酒をリングに上げて、バトルしようかと思ったとき。。。
ふと、頭に手をやると、
(おぉー。伸びたな)
娘がヒマそうなので、バリカンで刈ってもらうことにした。散髪が終わるまでは、動けないからね。
私:「おおーい!あくび!」(小さい頃から、ハクション大魔王のあくびちゃんの
ように、おやじを困らすイタズラばかりしているから、こう呼ぶ)
娘:「なーに?」
私:「パパの頭を床屋さんしてくれ」
娘:「え!どんな風に刈ればいいの?」
私:「任せる」
(んーーー、少しトラ刈りだが、まー、OK!)
娘は、おやじの頭を刈るのが大好きだ。私はあまり細かい事は言わないし、娘は、バリカンが髪を切るときの音と感触が好きだと言う。
小一時間の床屋タイムで、すっかり、飲みたい酔いたい気持ちがどこかへ飛んだ!
と、ここまで書いてきて、酒との格闘は、己一人だなーなんてしみじみ思ったところで、かなり話題が突拍子もなく変わるが・・・
ふと、唐突に思い出したのは、以前何かの本で読んだ、曹洞宗開祖・道元の言葉。
『他はこれ吾にあらず 更に何れの時をか待たん』
道元が中国の禅寺で修行していた頃。ある暑い日、一人の典座(てんぞ・食事を作る人)の老僧が茸を干していた。食事係と言えど、長く修行している偉いお坊様だが、眉毛は真っ白で、背は曲がって、辛そうに見える。
道元は、それを見て、誰か他の人にやらせたらどうか、と話しかける。
それに対して答えた老僧の言葉が「他はこれ吾にあらず」。
道元は、もうひとつ、今はとても暑いから、もっと涼しくなってから、その茸干しの作業をやったらどうかと勧める。
老僧の答えは、「更に何れの時をか待たん」。
禅の修業ではないけれど、断酒も、この話の通りだ。
断酒は自分で行うことであり、誰かに代わってもらうことは出来ない。更に、今日暑いから飲んで、明日から断酒しよう、などと言うわけにいかず、今、飲まない、ということが大事なんだ。
いやな事、面倒な事は誰かにやってもらったり、後回しにしているうちに、何もせず人生が終わる。
怒濤のように押し寄せた飲酒欲求とのバトルで、本日も良い勉強ができた!合掌!
(しかし、夕方、こんなものを飲んでしまった!もう一度飲むかと言うと、私には、カラメルの味が強くて、甘すぎなので、いらないかなー)
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