実に長かったが、１８２日を２倍すると、３６４日なので、本日でほぼ１年の半分に到達したことになる。（正確には、明日の昼だが）
エイヤッと、何の予備知識もなく、断酒を開始したころは、１日が長く、１週間はおろか、３日先さえ見えていなかったのだから、半年（６か月）なんて、夢のまた夢だったのに、ここまで、何とか、辿りついた。心理的には、紆余曲折の道のりだった。
ここまでくると、酒を断った『断酒』という心境から一歩進んで、『卒酒』というところに来たような気もするが、まー、まだまだなんだろうな。
多くの人は、幼稚園（保育園）、小学校、中学校と、卒業して、その学校に応じた段階の教育を修めて、次のステップへ進む。卒業したら、戻りはしないだろう。中学校へ進んでから、また、小学校へ戻るなんて、ない。
酒は教育ではないが、もう戻ることはない、という意味と願いを込めて、『卒酒』ってことで、行きたいな。戻ったら、アカン！
マラソンに例えると、断酒初日（３月１５日）がスタート、折り返し点が今日の夜から明日の昼あたり（９月１２～１３日）、ゴールは満願の丸１年達成の日（来年の３月１４日）だ。ゴールと言っても、単なる目標でしかなく、また、１年、飲まない日を繰り返すだけだ。
折り返し点の手前と向こうを、往路・復路と表現するならば、この断酒マラソンは、ヘンだ。走る人は同じなのに、往路・復路の精神状態、走り方、肉体的疲労感が全く異なる。
（これは、私個人の体験に基づく実感なので、他の方は、感じ方が違うでしょう、きっと）
往路。ひたすら、走るのみ。途中、アルコールを補給したくなるが、ガマン。走り続ける。補給所には、アルコール飲料、清涼飲料、水、などが無造作に置いてあり、うっかりアルコール飲料を手に取り、飲んでしまったら、断酒マラソンは一旦終了。スタート地点に戻る。
復路。往路が、折り返し点に近付いてきた頃、走り始めに感じていた、イライラとか左右の足の重さとか、疲労感が軽くなってきていることに気付き、スピードが増す。折り返し点を過ぎて、爽快感も増す。淡々と走り、補給所では、アルコール飲料など目に入らず、水か、たまにジュースを飲んで、ゴールを目指して、ひた走る。
来年の３月１５日から、２回目の断酒マラソンを走るとして、１回目とは、全然違って、楽だろうなー。
と、ここで、そんな楽天的な想像もいいのだが、己を戒めるため、いつもコメントを下さるhsさんから教わった、『アルコール依存症に関する１２章』（斎藤学 編／有斐閣新書）という本を、今読んでいる。ちょうど半分くらいまで来た。とても良い本なので、読み終えたら、記事にして、紹介しようと思っている。
で、この本に書かれている医師と患者の会話で、私がドキッとした箇所。
医師：「一度覚えた水泳や、自転車乗りは、たとえ何年間全くやらなくても、その場に遭遇すれば、すぐ泳ぐこともできるし、自転車に乗ることもできますよね。アルコール依存症も、それと同じことです。つまり、何年間酒を飲まないでいても、飲むのを再開すればすぐに元のコントロールを欠いた飲み方に戻ってしまうわけです。体が覚えているとでもいいましょうか」（２６頁）
半年やめて、『卒酒』なんて言ってる場合ではない。５年、１０年継続したって、飲んだら、その瞬間に、元の飲んだくれに戻ってしまうのだ。丸で、瞬間解凍の料理みたいだ。あっという間に、元どおり！
この本の最初のほうに書いてあるが、アルコール依存症に、治癒はない。断酒して、アルコールを体に入れない状態を続けるだけだと。つまり、断酒している私も、アルコール依存症なのだ。
そんなわけで、折り返し点を通過しても、初心に帰って、淡々と酒を飲まない一日一日を、積み重ねるだけだ。
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