『刷り込み』という言葉をご存知だろうか。
goo辞書によると
《生まれたばかりの動物、特に鳥類で多くみられる一種の学習。目の前を動く物体を親として覚え込み、以後それに追従して、一生愛着を示す現象。動物学者ローレンツが初めて発表した。刻印づけ。インプリンティング。》
我が国での、野放図なアルコール飲料のCMや、街や交通機関に無造作に貼られているポスター、また、飲酒は文化というようなふざけた生活環境の中で、赤ちゃんの頃から育つ子供たち。上記の『刷り込み』の説明をちょっと書き変えると、
《生まれたばかりの動物、特に人類で多くみられる一種の学習。CMやポスターで宣伝される酒という物体を飲み物として覚え込み、以後それに追従して、一生愛着を示す現象。》
どうだろう。恐ろしいことではないか。小さな頃から、大人になったら普通に飲むものとして、その純粋無垢な脳に、アルコール飲料が刷り込まれている。
私なども、酒というのは、大人になれば誰でも飲むもの、という半ば常識となっていることについて、何の疑いを持つことも無く、実際、二十歳前後から酒を飲み始めた。その刷り込みから逃れたのは、恐るべきことに、飲酒開始から31年後である!
うちの子等も、そういった刷り込みの中で育ってきたが、母親は全く飲まず、父親が浴びるほど飲み、問題行動を起こすという環境の中で、アルコール飲料の怖さ・異常性を、掴み取ってくれたので、大人になったとき、酒に対しては、かなり慎重に臨んでくれると思う。
人間がどんどん世代交代していく中で、ちょうど、車の教習所が、18歳人口の奪い合いをしているように、酒造メーカーと国も、20歳人口を、飲酒者として囲い込む腹なのは、見え見えだ。
『お酒は二十歳になってから』などと言う、あたかも、二十歳過ぎたら、誰でも飲むのが当たり前みたいな、ふざけた標語を流行らせ、一方では、幼児の頃から、のんべえ予備軍を、刷り込みによって、作っておくのだ。
ちょうど飲酒可能年齢に差し掛かる大学の新入生も、丸で酒造メーカーの回し者のように手薬煉引いて待ち構える先輩に、飲め!飲め!と、飲酒の洗礼を浴びる。弱い人も、飲んでいるうちに、何となく飲めるようになり、のんべえ一丁上がり!というわけだ。但し、毒を大量に無理やり飲まされたり・飲んだりするわけだから、毎年のように、急性アルコール中毒で死人が出ていることも事実。
酒造メーカーにしてみれば、そんなことはお構いなしで、酒を飲む人が増えれば増えるほど、売り上げも倍増でホクホク。ただこれだけ。
今、何の疑問も抱かず酒を普通に飲んでいる人も、飲みつつも、酒害が気になりやめたいという人も、その根底にある、幼児期からのアルコール飲料に関する刷り込みは、全く同じで、かなり強力だと思う。
自分の脳に刷り込まれた、酒(アルコール飲料)に関する観念を、一度まっさらにして、毒物としての正しい知識を刷り込み直せば、丸で催眠が解けたように、酒が飲みたいなどという気持ちは無くなっていることだろう。
私は、アルコール依存症からの回復が安定するまで半年も掛かってしまったのだが、もっと短期間で、飲酒欲求に苦しむことなく断酒できればいいのになー、と最近考えている。
しかし、世の中に、これほどアルコール依存症の人、及びその予備軍が存在し、これ!という、断酒方法が存在しないところを見ると、やっぱり、酒はかなりやっかいな飲み物なのだ。
丸で、映画のエイリアンのように、酒(アルコール飲料)は、人体に入り込み、その血肉と一体化してしまうから。
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