某元スポーツ選手の後は、某女優の弟、更に某週刊誌編集長、と立て続けに、似たような泥酔＆タクシー運転手暴行やら料金踏み倒しやらの事件が起きている。
前者は、『タクシー運転手の腰や足を蹴るなどして、骨盤骨折などのけがをさせた疑い。また、助手席のドアや後部ボンネットをへこませたほか、通りすがりの車を蹴った疑い』（@niftyニュース2013年10月15日(火)21時20分配信 時事通信）
後者は、『両腕をねじったうえ、「ぶっ殺すぞ」と脅して料金７１０円の支払いを免れた疑い』（@niftyニュース2013年10月16日(水)12時58分配信 読売新聞）
だそうだ。
この手の事件に共通するのは、時間が０時から６時の間ぐらいで、容疑者は泥酔しており、何をしたか覚えていない、被害者は職務を遂行中の、もちろんしらふの方、ということ。酔ってトラに変身した人が、誰彼なく襲う。
しかし、事件になって報道されるだけあって、内容は、凶悪だ。
goo辞書によると《狂気》と《凶器》の定義は、次のようである。
《狂気》気が狂っていること。また、異常をきたした精神状態。「―の沙汰」
《凶器》人を殺傷するために用いられる道具。また、人を殺傷したときに用いられた道具。刀剣・銃・棒など。
平常時、つまり素面（しらふ）のときには、普通に生活していて何の問題もない人が、ひとたび酒を大量に飲むと、狂気＆凶器の人に変身することがある。これは、報道される有名人だけではなく、世界中、どこでも起きていることだろう。
昨日も書いたが、今回の２つに事件も、報道のスタンスは、そんなに飲んで、泥酔した本人がいけない、で終わっている。
普通の人を暴力的に変身させ、己を失わせる酒という飲み物の危険性については、どこにも書かれていない。これが、酒ではなく、禁止されているドラッグ（麻薬）などであれば、その非合法性を喧しく書きたて、吠えまくるはずなのに。
私から見れば、酒も麻薬の一種でしかなく、ただ、合法的に製造・販売・購入・摂取ができるというだけだ。もちろん、国家には、売れれば売れるだけ、酒税という収入が入る。消費税もおまけで入る。儲かった企業からは法人税も入る。
何も、かつてのアメリカのように、禁酒法を制定しろなんて言いたいのではなく、こんなにも気軽に酒を売ったり買ったり出来る世の中で、酒（アルコール）の危険性が全然アピールされていないぞ！きちんと対策を講じれば、酒（アルコール）による社会の弊害を、もっと減らせるのではないか、ということを主張したいのだ。
その最たるものは、アルコール依存症だ。元々健康体の人間が、酒（アルコール）を手にしたことにより、その毒性に蝕まれ、自分だけでなく、家族まで巻き込んで、奈落の底に落ちてゆく。栓を抜いた風呂の底のように、渦を巻いて、色んなものを巻き込んで、下水道へ流れていく。
一方で、そうした人々の購入した代金は、酒造メーカーや販売店や国家を潤している。酒なしで生きられなくなってしまった人は、一体何人いて、一日にいくらの金を酒の購入に費やしていることか。
酒のマイナス面（プラス面はないと思うが）を隠して、どんどん飲めや歌えやと煽って買うだけ買わせ、飲むだけ飲ませ、自分の懐は潤沢にしつつ、浴びるほど飲んだ人が病んでしまったら、それは、飲み過ぎた貴方がいけないよ、病院へ行きなさい、で終わりだもんね。
私は、断酒してから、この国のアルコール依存症の方々の悲惨な実態を知った。今でも、様々な形で学んでいる。そういった内容の本を書かれている作家の方から聞いた話だが、日本の精神科の閉鎖病棟は、アルコール依存症の患者で溢れているそうだ。
アルコール依存症の患者は、酒造メーカーに貢ぎ、販売店に貢ぎ、居酒屋に貢ぎ、国家に貢ぎ、最期は、医療機関に貢ぎ、うまくいけば、更生する。が、その回復率は驚くほど低いようだ。
(追記：すぐ上の文章の中の《貢ぎ》を《搾取され》に置き換えて読んで頂くと、なお実態がよく分かるはず)
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