『依存症ビジネス 「廃人製造社会の真実」(デイミアン・トンプソン著 中里京子訳)ダイヤモンド社』
実に読み応えのある本だった。内容的には、私が今まで読んで来たアルコール依存症関係の本とは一線を画する。
先日も書いたけれど、アルコールに関わらず、依存症になるのは、もちろん自らの責任なので、そこから抜け出すのも、自分で何とかする他は無い。だが、昔より今のほうが確実に、私たちを依存症へと向かわせるテクノロジーが進んでいる事は確かである。
この本を読んで、その辺りに関して自分なりに掴んで、330頁に書いてあるが、
「われらを食い物にするビジネスとテクノロジーに対抗するすべはあるか?」
と、常に自ら学び、警戒する姿勢が必要である。これは、アルコール依存症だけの狭い世界ではなくて、もっと多くの依存症全てに言えることである。
それから、333頁に、
「廃人リスクが高まる社会で、己の欲望と向き合うために」
との、この本の最後の部分で、私たちはどうしたらいいのか、ヒントが書かれている。狩猟採集民だった私たちの祖先を守っていた警戒感を取り戻すことかもしれない、と。私たちの「欲しい」という衝動を操作しようとするテクノロジーのトリックを早く見抜ければ見抜けるほど、それらを拒絶できる可能性も高くなる、と。
ちょっと視点を変えて、面白かった記述をいくつか、紹介してみる。
普通の酒飲みと、アルコール依存者を見分けるコツと言う事で...
普通の酒飲みは「今晩パブに行って、酔いつぶれてやる」と言う。
アルコール依存者は「今晩パブに行くが、酔いつぶれないようにする」と言う。
これは、分かる(笑)
もうひとつ、「自力で立ちなおったら依存症ではない? ー 医者たちの傲慢な言い分」として、次のような事を著者は書いている。
薬物に溺れた経験がどんなに強烈であっても、一度それに負けてしまった後に、考えを変えて依存から立ち直る人はいつだっている。が、AAや医者は、反駁しようのない堂々巡りを駆使して、無視するのだそうだ。即ち、「自力で立ち直ったのなら、依存者ではなかったのだ」と言うのだそうだ。
私はここで、一度負けてしまった後に自力(と言っても、ブログのチカラを借りて、読者の方から応援してもらったが・・・)で立ち直った一人として、著者の考えがとても参考になった。
色んな考えや経験を知るためにも、読書は有益である。これからも、どんどん読んで、感想を書いてみたい。
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