またまたの読書感想文。
断酒以来、読書欲が止まらない(笑)
『今日も飲み続けた私 プチ・アルコール依存症からの生還(衿野未矢著/講談社+α新書)』
この本の内容は、恐らく、本格的なアルコール依存症ではないけれど、ちょっと飲み過ぎていて、アルコール依存症の予備軍かな?と感じている方々にはピッタリだ。
最初に、副題でもある著者の「プチ・アルコール依存症からの生還」の状態をバラしてしまうと、断酒ではなく節酒に落ち着いている。私が数多くのアルコール依存症関連の本を読んで来た中では、この結末は、異色の存在である。ほぼ100%近くの本では、結論として節酒ではなくて、断酒を勧めていたので。
内容的には、二本立てのドキュメンタリー形式だ。
著者が自分の日頃の飲酒行動に疑問を持ち、ひょっとしてアルコール依存症かも知れない、と、自らが複数の医療機関を訪れての医師とのやりとり。もうひとつは、何人もの問題飲酒へ精力的に取材し、彼らの飲酒行動を丹念に再録し、問題分析している。
この本で、新たな言葉を知った。それは、著者が名付けた「リビング・ドリンカー」。
「キッチン・ドリンカー」は、誰でも聞いたことがあるだろう。家庭の主婦が、台所で度を越した飲酒をしてしまう。
「リビング・ドリンカー」は、主に、一人暮らしや、シングルマザー・ファザーの男性・女性が、自宅のリビングで大量に飲酒をしてしまうこと。飲酒に対してとやかく言われないので、自宅のリビングでグデングデンになるまで飲むのだ。
もうひとつ、見落とされがちな「クロス・アディクション」についても触れられている。
「クロス・アディクション」とは、依存の対象が複数同時に存在することだ。例えば、アルコールの他に、リスト・カットとか、セックスとか、薬物、ギャンブルなど。
私がハッとしたのは、著者が、マラソンも依存症のひとつではないか、と述べていることだ。マラソンをする市民ランナーは、大量に酒を飲むか、全く飲まないか、のどちらかに分類されることが多い。実は、アルコールだけでなく、マラソンにも依存している、クロス・アディクションの人が沢山いるのではないか、と著者は推測している。
確かに、私の知り合いのマラソンジャンキーな人たちは皆、大酒飲みだ。日本全国のマラソン大会に出場するが、現地入りして酒を飲み過ぎて二日酔で走ったとか、良く聞く。
著者は、アルコール依存症には断酒しかない、との結論を知りつつも、何とか適正飲酒出来る方法はないかと、彷徨う。この辺り、私も経験があるので、読んでいておもしろい。
私も初耳だったが、《適正飲酒のためのプログラム》というものがあり、それを行っている組織も存在した。今は活動していないらしい。それを是非受けるべく、著者の取材が始まる。
《適正飲酒のためのプログラム》が、どんなものか、結構詳しく書かれている。もともとはアメリカで広まったものが、日本にも入ってきたという。飲酒に未練を残しつつ断酒している人には、朗報か!?どんな内容かは、本を読んでのお楽しみかな(笑)
冒頭にも述べたが、この本の著者は、節酒に落ち着いた。
問題飲酒する人も、酒の断ち方、或いは断たずとも節酒で行くやり方など、実に千差万別であり、個人個人違うんだなぁ、と考えさせられた本であった。
しかし、私の考えは揺るがず、「断固断酒」で、不動である!
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