一日空けてしまったが、一昨日の前編に続き、読書感想の後篇を・・・
『私は親のようにならない アルコホリックの子どもたち(クラウディア・ブラック/誠信書房)』
この本は、私のこれまでのアルコール依存症に対する認識に、更にもっと重いものを付け加えてくれた。
今までは、酒をやめられない張本人のこと、その人が罹患する病気のこと、また、飲酒運転の犠牲になってしまった人のことなどをメインに書いてきた。実は、もっと身近にいる、小さな被害者たちのことを、この本は教えてくれた。
全ての子供は、両親が、指導してくれること、守ってくれること、自分の身を自分で守ることを許してくれること、を求めている。
けれども、子供たちに伝えなければならないのは、アルコホリックとその配偶者は病気なので、必ずしも最善の決定を下すことが出来ない。それと、他人に援助を求めるのは大切であり、許される、と言う事。
アルコール依存症を良く理解している人がこうした家族の中に入って、アルコホリックの親がシラフの時に、家族ミーティングを開くのが良いと、著者は勧めている。
両親のアルコール問題によって、AC(アダルト・チャイルド)となってしまった人は、適切な治療を受けた方が良い。自分の心を解放してあげないと、一生問題を抱えたままとなる。
著者がカウンセリングした中では、七十代のACの人もいたそうだ。
第6章《アダルト・チャイルド(AC)》と言う事で、丸々一章を、ACの説明に当てている。ひと口にACと言っても、様々なタイプが存在すること。どうしたら、心に負った傷を癒すことが出来るのか、など、懇切丁寧に書いてある。
第7章では、アルコールに起因する家庭内暴力について書かれている。
この部分は、読むのが辛かった。私は、飲んだくれ時代、言葉で絡んだり、しつこくしたことはあったが、直接家族に暴力を振るったことは無い。
ここでは、アルコールが絡む暴力が、被害者にとっては、危険で致死的な問題になることが書かれている。
もうひとつの暴力である、性的暴力も、読んでいてとても遣る瀬無い気持ちにさせられた。
アルコール乱用と近親相姦に関しては、まだ研究が少なく、はっきりした結論は出ていないが、いくつかの報告によると、犠牲者の50%以上が、アルコール問題を抱えた家庭の子供だそうだ。
多くは、実父と娘、継父と娘との間で起こる。多くの子供たちは、一体何が起こっているのか分からないまま、成長する。狭い家庭と言う世界で、心理的に孤立したまま、生活を続けるしかないから、心の傷は深くなる。
性的虐待の被害に遭った子供たちは、全て、専門家による治療が必要である。
最後の章で、アルコール問題を抱える人々が、どこに援助を求めればいいのか、優しく書かれている。アメリカで出版された本の翻訳なので、そのまま日本の社会に当てはめられない部分もあるが、著者のアドバイスはとても有益である。
私はこの本を、偶然古書店(BookOff)で見つけた。背表紙が目に飛び込んできて、手に取ってすぐに購入した。何かの縁があったのだろう。因みに、税込み200円!だった。
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