断酒ブログを長いこと書いて来たが、書き始めた頃から今日まで、随分と心境が変化した。
ブログにその日の気持ちを文章として吐き出し、整理することは、取りも直さず、心を落ち着けて自分を見つめ直すことだった。人に読んでもらう文章を書くことは、酔っ払っていては出来ない。
あれほど、喉から手が出るほどに欲しくて欲しくて苦しめられた酒だが、今は酒そのものが私の目には褪めて見える。かつては色鮮やかだったのが、いまや退色して、くすんでいる。
酒なんぞ、大したものじゃない、ロクなものじゃない。酒から醒めて、目が覚めて、思いが冷めて、酒の色が褪めた。
うまいとか、喉越しが爽やかだとか、暑いからとか、この料理にはこれ！とか、色んな理由を付けて人は酒を飲む。
けれども、飲む本当の理由は、ひとつだけだ。それは、ほろ酔～酩酊～泥酔～昏睡まで、諸段階あれども、人は、酔いたいから、酒と言う名に隠されたエタノールを飲むのだ。
このことが分かるまで、ひたすらブログを書き続けて、３年は掛かったのだろうか。
日々楽しいことばかりではないから、時に、酒に逃げたくなることもある。それは、飲みたいのではなくて、酔いたいのである。つまり、現実から逃亡して、一時、イヤなことを忘れたいのだ。
酒の恐ろしく安直なところは、それだ。飲めば酔い、あっと言う間に病んだ精神は、別世界へとワープする。気持ちが良くなり、悩み事、イヤなことを忘れる。
ただ、これ、午前零時に魔法が解けるシンデレラと同じで、エタノールが代謝され、酔いと言う魔法が解けると、それまでの高揚した気分は、一気に下降し、二日酔いしつつ後悔する、いつもの最悪のパターンへと堕ちて行く。
大体、人生の諸問題が、数百円から数千円払って飲む酒如きで解決するわけがない。薬物・エタノールで、現実逃避しているに過ぎない。酔っている間だけ精神は逃避しているが、必ず、現実に戻って来る。戻るのがイヤなら、２４時間酔っている他はなく、その実体は、重度のアルコール依存患者である。
酔いは、持続しない。酔いは、何も解決しない。酔いは、寧ろ事態を悪化させる。
酒が嫌いだとか、酒は毒だとか、飲み過ぎは身体に良くないとか、大量に毎日飲むと色んな病気になるとか、酔うと犯罪の加害者にもなるし被害者にもなるとか、これまでブログに酒害を並べ立てて、だから飲まない方が良いと結論して来た。
その結論の究極は、私は、酔いたくないから飲まない。
薬物・エタノールを身体に入れると、酔う。酔うとは、自分の身体がエタノールに乗っ取られること。航空機のハイジャックと同じだ。パイロットである脳が、ハイジャック犯のエタノールに支配されるのだ。これでは、自分を乗せた航空機は、本来の目的地に着かないばかりか、墜落するかも知れない。
あなたは、酔いたいのだろうか。酔うことに、何を求めるのだろうか。それが、今現在抱えている諸問題や悩みからの逃避であれば、苦しくとも素面で立ち向かうことを勧める。
飲んで酔えば、一時的に気分が良くなり、別世界への逃避は出来るが、そのエタノールによる魔法《酔い》は数時間しか持たない。その割には、酔いの程度によって、後始末が大変だ。気づいてみれば、時間とカネを浪費しただけ。
飲みたさを我慢し、現実をきちんと見つめ、自分の心と対話し、どうすればよいのか良く考えて、行動する。酒に頼らず、先ずは自分に、そして周囲のしかるべき人に、更には専門家に頼る。これが問題や悩みを解決する一番の近道。
閑話休題。
とらさんがふらっと旅に出てから、掲示板モドキが閑散として、寂しい限りです。断酒丸にお名前のある方、これから断酒しようと考えてらっしゃる方、書き込んで見て下さい。
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