先日(2017/7/13)の記事に書いた本のこと。
『魂の家族を求めて(斎藤学著/日本評論社)』
これは、大阪オフ会の日の午前中、おでんさんとプチ・オフ会をしている時に話が出て、興味が湧いた本だ。
AAを創始した人が、ユングにアルコール依存症の治療を頼んだけれど、断られたことが、この本に書いてあると、おでんさんが教えて下さった。へへ~!と、興味が湧き、後からメールで本のタイトルを教えて下さいと頼んだのだった。
当初、そのAAの創始者とユングとのやりとりだけに興味があって読み進めたのだが、その部分よりも、全体的に実に良いことが書かれている本であった。東京ミッドタウンでトビーさんと会った時の待ち合わせ時に読んでいたのも、この本だ。
AA、断酒会、アラノン、それぞれの草創期のことや、共依存(イネイブラー)、イネイブリングについても、かなり詳しく書かれている。
ハードカバーで200頁強のヴォリュームなのだが、かなり内容が濃い。
サブタイトルが、「私のセルフヘルプ・グループ論」とある通り、セルフヘルプ・グループつまり、自助グループについて、アルコール依存症だけではなくて、バタード・ウーマン、共依存、アダルト・チルドレン、子供を虐待する母、性被害を受けた女性、過食・拒食症者、など、実に様々なケースについて取り上げている。
アルコールだけでなくて、依存症は、それを病む者たちが集まって、自助グループを形成し、助け合うところに、光が見えて来る。これを服用すれば症状が軽くなる、みたいな特効薬は存在しない。
例えば数ある自助グループの中で、バタード・ウーマン(被虐待女性)のそれは、夫やパートナーのDVに晒された女性たちの集まりである。この本の中にある次の一文を読めば、如何に恐ろしいことか分かる。
「夫からの暴力は時に、妻の死で終わることがある。」
バタード・ウーマンに暴力を振るう夫に、アルコール依存症の者が多いと言う事実を読んだ時、私の心はざわついた。
私は毎晩のように大酒を飲んで酔っ払ってはいたが、決して妻や家族に暴力を振るうことは無かった。人にはそれぞれ酔った時の振る舞いに個性があるが、私の場合は、記憶が失くなるまで飲んで、どこでも寝てしまう。
何故に心がざわついたかと言えば、あのまま酒を飲み続けていたら、いつしか妻や子供に暴力を振るう日が訪れたのではないか、と思ったからだ。
酔っ払いは、進化するからである。
魂の家族とは、お互いのことを分かり合える仲間のことである。もっと広く考えると、依存症だけは無くて、あらゆる病には、先日記事にした《同病相憐れむ》が基になった自助グループが必要なのではないか。
著者の斎藤学(さいとうさとる)先生は、略歴によると、
「アルコール依存、ギャンブル依存、食物依存(過食・拒食)などの依存症や、児童虐待、女性虐待などの家庭内暴力を対象にした初期介入、治療、援助の実践と理論化を専門とする。」
と書かれている。
興味ある方には、一読をお勧めする。
また、この本を教えて下さった、おでんさんには、感謝!
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