「泣いてたまるか」と言う、渥美清主演のドラマをご存知だろうか。
1966~1968年の頃、テレビ放映されていた。毎回、ドラマの設定が違うけれど、演ずる主人公は同じと言う、今ではあまり無い異色のドラマだ。
最近、これのDVDを借りて来て、良く観ている。
「子はかすがい」と言うタイトルのものを観ていたら、あ~、これ断酒ネタだなと思い、調べて見ると、元ネタは、落語の「子別れ」とか「子は鎹(かすがい)」で、これをベースに、寅さんで有名な山田洋次が脚本を書いたものだ。
ドラマのあらすじ・・・渥美清演じる主人公は、源公こと大工の坂田源吉。奥さんの民子(市原悦子)と小学生の息子と赤ん坊の四人で長屋暮らし。人は良いのだが、酒乱気味。
ある夏の日、しこたま飲んだくれをやらかして、翌朝、起きてみると、息子しかいない。はてさて?と隣の棟梁(東野英治郎)宅へ行ってみて、昨夜の大失態が判明する。真夜中に泥酔して見知らぬ他人を連れ込んで帰宅し、大暴れ。そして何と、自らの口から、奥さんに「出て行け!」と言っており、もうこんな飲んだくれと暮らしてはいけないと、奥さんは赤ん坊だけ連れて、本当に出て行ってしまったのだ。
その後、源公は、反省し、酒を断ち、仕事に精を出す。上の子が書いた作文を、先生(栗原小巻)が家へ届けてくれて、子供が感じていることを知る。紆余曲折あるが、やがて夫婦は縒りを戻し、親子仲良く暮らす。
当たり前だけれど、渥美清はもちろん、母役の市原悦子、先生役の栗原小巻など、俳優陣の若いこと!長屋の隣に住む大工の棟梁役の東野英治郎は、私の持つイメージとあまり変わらないかな。
で、落語だが、こちらも気になって、youtubeで探して聴いてみた。
こちらの主人公は、大工の熊五郎。大酒飲みの遊び人。
ある日、葬式があって出かけるが、あっちこっちで酒を飲み、そのままの勢いで吉原へ行ったきり、三日も居続け。
四日目の朝、帰宅するが、かみさんに咎められ、あれこれでっちあげの言い訳をする。が、その内にかみさんも怒り心頭に達し、子供の亀坊を連れて家を出てしまう。熊五郎は、おいらんを引っ張り込んで一緒に暮らすが、うまくいくわけがない。
かみさんは、近所で間借りして、働きながら子育てをする。
こちら熊五郎、すっかり反省して、断酒をして、仕事に打ち込んで、大工の棟梁になった。そこへ、子供の亀坊が現れ、小遣いをやり、翌日うなぎ屋で会う約束をして・・・
まー、結局、子供が仲介役となって、夫婦は縒りを戻し、めでたく元の鞘に収まるわけだ。
ドラマも落語も、飲んだくれて酒乱気味だった主人公が、嫁さんと子供に逃げられて、改心し、ピタリと断酒をして、真面目に働き、最後には嫁さんと子供が帰って来ると言う、メデタシメデタシで終わる。
ポイントはもちろん、断酒。
ドラマも、落語も、泣けた。私とて、あのまま飲んだくれを続けていたら、かみさんと子供に出て行かれる寸前だったかもしれないからだ。
渥美清の「泣いてたまるか」の「子はかすがい」でも良し、DVDが入手困難であれば、youtubeで、色んな噺家がそれぞれの持ち味で演ずる「子別れ」「子は鎹(かすがい)」を聴くも良し。
因みにyoutubeで私が聴いたのは、前半が『立川談志「子別れ」』、後半『桂文我 「子はかすがい」』 。立川談志で通しで聴きたかったが、後半がyoutubeにはUPされていなかった。
酒害の怖さと、断酒の良さが、しみじみと胸に迫る、ドラマと落語である。
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