酒を断つと、甘いものが無性に食べたくなり、ある期間ハマる人が多い。
私もその一人で、断酒後1年間くらいは、酒の代わりに甘いもの依存症になっていたような気がする。
現在は、それほど甘いものを欲することはなくなった。
以前ブログに書いた映画「あまくない砂糖の話」で出て来た、砂糖の至福ポイントだが、それについて書いてある本をたまたま見つけたので、読んでみた。
『「食」の図書館 砂糖の歴史(アンドルー・F・スミス著/手嶋由美子訳)原書房』
正にタイトルの通り、砂糖の歴史が細かく綴られている。インドで発祥した製糖の方法が、世界に広まり、更にその技術が革新されてゆく様子。サトウキビのプランテーションに、アフリカから何十万人もの奴隷が連れて来られ、過酷な労働を強いられた様子。
ごく一握りの、頂点に立つ人々の懐と味覚を満たすために、何十万、何百万の人々が、奴隷として短い人生を終わって行ったあたりを読むと、何だか力が抜けてしまう。
さて、砂糖の至福ポイントについて。
飲料メーカーや菓子メーカーがとっても知りたい、
「売上を最大にするためには砂糖をどれくらい加えるべきか」
について。
1970年代初めの実験ふたつ。
心理学者が、ネズミを使った肥満の実験をしたそうだ。ドッグフードでは過食も体重増加もせず、糖分の多い朝食用のシリアルでは、過食し肥満となった。他の食品でも実験した結果、ネズミは甘い食べ物を好み、肥満になるまでそれを食べ続けることが分かった。更に、肥満になってしまったネズミは、甘みのない普通のネズミ用のエサを与えても、見向きもしなくなったそうだ。
同じころ、米国陸軍研究所。兵士の為の軍用食の研究で、砂糖をある点まで加えると、兵士はその食べ物により強い興味を示すが、その点を超えると、どんなに砂糖を増やしても、その食べ物への興味は弱くなることを発見した。
甘みの魅力が最大になる点、これを至福ポイントと言う。
これらの研究を更に進めて、食品会社は、いかに消費者の口に合った食べ物を供給するか、日夜研究し、砂糖の量を調整しているのである。
アルコールは、酒の種類によってその含有の割合は様々なので、砂糖のような至福ポイントは存在しないのかな。アルコールの至福ポイントは、それが脳に到達し、大脳が麻痺した時点だろう。
同じ至福ポイントでも、アルコールは、その点を超えると、ますますアルコール飲料への興味が強くなり、至福をずっと味わい続けたくなり、酒を飲み続けることになる。アルコールの至福ポイントは、過剰飲酒への通過点である。
この辺り、先に本から引用したネズミの実験にも通ずる。ネズミを人に、肥満をアルコール依存に、甘い食べ物を酒に、それぞれ置き換えると、アルコール依存末期の人が、酒以外受け付けなくなる姿が見えてくるから、恐ろしい。
私は酒をやめたあと、ある期間甘いものにハマるのは仕方ないことだと思っている。現に、自分自身が、酒を飲めない侘しさを、甘いものに助けてもらったから。断酒も2年目を迎えた頃から、甘いものに手が伸びることが少なくなって来た。
甘いもので断酒初期を乗り切るのも、ひとつの方法かな。
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