酒を飲まない生活が当たり前になってくると、自分の病さえ忘れて過ごす日々が多くなる。
私は毎日のブログ更新の時に、自分がアル中であることを再認識している。が、あの不快な日常から解放されて爽やかな日々を送っていると、さて、己の病のアル中(アルコール依存症)とは何だったのか、それさえあやふやになって来る。
それで、私は、数か月に一度は、アルコール依存症関連の本を読むことにしている。
先日のブログでも書いた本だが、本日紹介するのは、
『よくわかるアルコール依存症 その正体と治し方(森岡洋[著]/白揚社)』
である。
この本の良いところは、全体を通して、アル中を抱える家族向けの内容だと言うこと。アルコール依存症の本は、その殆どが、アル中本人に向けて書かれているけれど、考えてみれば、アル中本人は病を否認するので、本は読まないのではないか。
アル中を抱えて困っている家族は一体どうすべきか、アル中に対してどう対応すべきか、そう言ったことが懇切丁寧に書かれている本書は、正に良書である。
この本で、何故断酒が《強い意志》ではうまく行かないのか、納得が行ったので、紹介しよう。実に分かり易く書かれている。
欲求と意志の関係。意志と欲求は力比べをしている。ある欲求があまりにも強くなって来ると、どんなに意志の力が正常でも、その欲求を抑えることは出来ない。つまり、異常に強まった欲求を抑えることが出来なくても、このことで、意志が弱いとは言えない。意志の強弱を判断する前に、欲求の強弱を考慮しないといけない。
アルコール依存症は、飲酒欲求が極端に強くなる病気である。飲み出したら止まらないのは、意志薄弱なのではなくて、飲酒欲求が病的に肥大しているからである。
《断酒意志》 < 《飲酒欲求》 ← 飲まずにはいられない!
《断酒意志》 > 《飲酒欲求》 ← 飲まずに生活できる!
ざっとまとめてみたが、このような解説が書かれていた。なるほど!これなら、分かる!と、私は納得した。どんなに強大な意志の力を持つアル中でも、それを上回る飲酒欲求があれば、負けてしまうのは当たり前である。
もうひとつ、精神の拮抗作用について。
何かをやろうとする時、必ずそれと反対の気持ちが起こって来るが、これを精神の拮抗作用と言う。仕事が忙しいと遊びたくなるし、試験が目前なのに、勉強以外のことをしたくなるし、酒をやめたいアル中の場合、断酒を意識し過ぎると、却って酒を飲みたくなってしまう。これが拮抗作用である。
《飲まないぞ!》 VS 《飲みたいな!》
これは、正常な心理なので、酒を断った人が飲みたいと思うのも当たり前なのである。
知識だけで書かれているアルコール依存症の本が多いような気がしているが、この本の著者の森田洋医師は、臨床経験がかなり豊富である。説明が分かりやすい。
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