最近、断酒仲間から聞いた話だが、こんなことを謳い文句にしている人がいるとのことだ。
『断酒成功法をあなただけに教えます。』
ブログやらメルマガやらで宣伝しているらしい。
もちろん、タダで教えてくれるわけもなく、情報料を払ってねと言うことになっているそうだが。
このことを教えてくれた人は、まだ断酒ほやほやで、どうしたら断酒がうまく行くか、ネットであらゆる情報を探している最中の人。
私も、断酒ほやほやの頃、続けられるのかの不安と、飲みたい欲求の狭間で、断酒がどうしたらうまく行くか、ネットで色んな情報を検索していたので、その気持ちは分かる。
でもね・・・
『断酒成功法をあなただけに教えます。』
こんなことを触れ回っている人に、騙されてはいけない。
断酒成功法を喧伝すること自体が、胡散臭すぎる。
何故なら、断酒に失敗はあっても、成功は無いからである。断酒にあるのは、継続のみである。
断酒の成功は、敢えて言うなら、期間限定の成功でしかない。
３日間なら３日間の成功。ひと月間ならひと月間の成功。１年間なら１年間の成功。
何れも、次の日に成功が続いているかどうかは分からない。４日目に飲んでるかも、ふた月目に入ったところで飲んでるかも、２年目の初日で飲んでるかも。
それに、その、断酒成功法を喧伝する人には一体、断酒に於いてどんな実績があるのだろうか。
最低でも酒を断ってから３年くらいは経過しているのか。どんな人か私は又聞きでしかないので、分からないが。
私は、恐らくこれは、いわゆるアトピービジネスに近いものと推測する。
ご存知ない方の為に、アトピービジネスとかアトピー商法とはどんなものか説明してみる。
アトピー性皮膚炎の症状が酷くて困っている人に、これを飲めば治るとか、これを塗れば治ると、藁にも縋る思いの人を騙して、お金を巻き上げる悪徳商法である。
つまり、断酒成功法を宣伝している輩は、断酒が辛くて困っている人を対象（悪い言葉だとカモ）にして、一儲けを企んでいるのだ。
多くの断酒仲間の人に、断酒そろそろ７年になる私から、次の言だけは譲れないことをお伝えする。
『万人に共通の断酒成功法など、存在しないと断言できる。』
もし存在するなら、日本全国、いやいや世界中のアルコール依存症専門のクリニックも医者も不要になるはずではないか。
それに《断酒成功法》が胡散臭いのは、それを喧伝している人が、本当に断酒している人なのか分からないところ。
先日の、飲酒運転で逮捕されたアルコール依存症専門クリニックの院長のように、自分は酒を飲みつつも、断酒している人をカモにしているだけかも知れない。
仮にその人が、本当に断酒を継続している人であっても、その人の断酒が成功したかどうかは、その人が死んでからでないと分からない。
１０年、２０年、３０年断酒が継続している人でも、何かの切っ掛けで再飲酒（スリップ）してしまうことがあるわけだし。
断酒とは、その人個人個人の生き様である。
自分に合った断酒スタイルは、自分固有のものであって、他の人に伝えることは難しい。
アル中にとって、アルコール依存症専門医による診療の他に、自助の会が必要であるのは、酒を断ち続けるのには、同じように断酒をしている仲間が互いに励まし合うことがとても役に立つからである。
ありもしない《断酒成功法》などに惑わされずに、断酒は自分で工夫し、継続するのが一番なのだ。
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